Wi-Fiルーターの調子が悪く、インターネットが遅い、または全く繋がらないといった経験はありませんか。
そんな時、「とりあえず再起動すればいい」と聞いたことがあるかもしれませんが、実際にルーターを再起動する頻度やタイミング、正しい方法について詳しく知っている方は少ないかもしれません。
特に、再起動にかかる時間や、それでも復旧しない場合の理由、さらには再起動時の注意点やメリット・デメリットまで、気になることはたくさんあります。この記事ではそんなお悩みを解決する方法を解説します。
- ルーター再起動で通信が改善する仕組み
- 再起動の正しい方法と、やってはいけないこと
- 再起動にかかる具体的な時間
- 再起動しても問題が解決しない場合の原因と対策
ルーターの再起動にかかる時間はどれくらい?

ルーター再起動で通信が改善する理由

ルーターを再起動することで通信が改善する理由はいくつかあります。多くの人は、単に電源を入れ直すだけの簡単な作業だと考えていますが、その裏には明確な理由があるのです。
まず、ルーター内部にこもった熱を放出できることが挙げられます。ルーターは24時間365日稼働していることが多いため、内部の電子部品に熱がこもりやすくなります。電子機器は熱に弱く、高温状態が続くと処理能力が低下し、通信速度の低下や接続の不安定さといった不調を引き起こします。再起動で一時的に電源をオフにすると、ルーターを休ませて内部の熱を効果的に逃がすことが可能です。
次に、アクセスログのリセットが挙げられます。ルーターは、インターネットに接続した履歴であるアクセスログを継続的に記録しています。このログが大量に蓄積されると、ルーターの動作が重くなり、通信に影響を与えることがあります。再起動することでこれらのログがクリアされ、ルーターが初期状態に近い状態に戻るため、動作が軽快になり通信が改善されるのです。
また、チャネル(チャンネル)の自動調整も再起動の大きな利点です。複数のデバイスをルーターに接続している場合、それぞれのデバイスに通信経路であるチャネルが割り当てられます。しかし、チャネルの数が限られているため、接続するデバイスが増えたり、近隣のWi-Fiルーターと電波が干渉したりすることで、チャネルが混雑し通信が不安定になることがあります。多くのルーターには、再起動時に混雑していない最適なチャネルを自動的に選択し直す機能が備わっており、これにより電波干渉を解消し、通信の安定性を向上させることができます。
ルーター再起動のメリットとデメリット

ルーターを再起動することには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。これらを理解した上で、適切に対処することが大切です。
メリット
再起動の最大のメリットは、通信環境を簡単に改善できることです。前述の通り、熱のこもりやログの蓄積、チャネルの混雑といった様々な要因で不安定になった通信状態を、再起動という単純な作業でリセットし、復旧させることが可能です。
これにより、通信速度が向上したり、接続が安定したりする効果が期待できます。また、定期的に再起動することで、ルーターの負荷を軽減し、故障や劣化を未然に防ぐことにもつながります。
デメリット
一方で、デメリットも認識しておくべきです。ルーターを初期設定のまま使用している場合は問題ありませんが、MACアドレス制御やIPアドレス割り当てなど、個別の設定を行っている場合は注意が必要です。再起動によってこれらの設定情報が削除されることはありませんが、再起動の際に設定が不安定になる可能性もゼロではありません。
加えて、再起動中はインターネットが一時的に利用できなくなります。一般的に、再起動には数分程度の時間がかかります。オンライン会議中やオンラインゲームのプレイ中など、通信が途切れると困るタイミングでの再起動は避けるべきです。
正しいルーター再起動のやり方

ルーターを再起動する方法は、主に2つあります。設定ツールを使う方法と、電源を抜き差しする方法です。
設定ツールを使う方法
一部のルーターには、パソコンやスマートフォンのアプリ、またはウェブブラウザからアクセスする設定ツールで再起動ボタンが用意されています。この方法は物理的にルーターに触れる必要がなく、手軽に再起動できるという利点があります。
ただし、設定ツールでの再起動は電源がすぐにオンオフされるため、ルーターにこもった熱を十分に逃がすことが難しい場合があります。もしルーターが熱を帯びていると感じる場合は、この方法は避けて、次に説明する電源の抜き差しを行う方が良いでしょう。
コンセントの抜き差しによる方法
設定ツールが使えない場合や、ルーターに熱がこもっていると感じる場合は、コンセントを直接抜き差しすることで再起動します。この方法は、電源を完全に切るため、ルーターを十分に休ませ、放熱させることができます。
基本的な手順は、ルーターのコンセントを抜いて10秒から20秒程度待ち、再度コンセントを差し込むだけです。ただし、この後、詳しく説明するように、回線終端装置(ONU)が繋がっているかどうかに応じて手順が少し変わります。電源を抜いてから待つ時間は、ルーターの機種によって異なる場合があるため、取扱説明書で確認することが推奨されます。
回線終端装置と繋がっている場合の方法

ルーターが回線終端装置(ONU)と接続されている場合、単にルーターの電源を抜き差しするだけでは正常に再起動できないことがあります。この状況では、正しい手順を踏むことが非常に大切です。
回線終端装置は、光信号をデジタル信号に変換する役割を持つ機器で、多くの場合、光回線の契約時にプロバイダから提供されます。もし、ご自宅のルーターがこのような機器とLANケーブルで繋がっている場合は、以下の手順で再起動を試みてください。
- まず、ルーターのコンセントを抜きます。
- 次に、回線終端装置のコンセントも抜きます。
- そのまま数分(熱を逃がしたい場合は10分ほど)待ちます。
- 回線終端装置のコンセントを先に差し込み、ランプが正常に点灯するまで待ちます。
- 回線終端装置のランプが安定したことを確認してから、ルーターのコンセントを差し込みます。
この順番を厳守することで、機器間の接続がスムーズに行われ、通信トラブルの再発を防ぐことができます。逆に、この手順を間違えると、ルーターや回線終端装置の故障につながるリスクがあるため、十分な注意が必要です。
再起動しても繋がらない時の対処法

ルーターを再起動しても問題が解決しない場合、ルーター本体以外の場所に原因がある可能性が考えられます。以下のチェックリストを参考に、一つずつ確認してみてください。
接続デバイスやケーブルの確認
まず、インターネットに接続しているパソコンやスマートフォンの設定に問題がないか確認します。Wi-Fiのパスワードが正しく入力されているか、機内モードになっていないかなどをチェックしてください。
また、ルーターと回線終端装置を繋ぐLANケーブルが、正しく奥まで差し込まれているかを確認することも大切です。ケーブルの抜き差しを行うだけで改善することもあります。
セキュリティソフトの確認
お使いのパソコンやスマートフォンにインストールされているセキュリティソフトが、Wi-Fi接続を妨げているケースも存在します。一時的にセキュリティソフトをオフにしてみて、インターネットに繋がるか試してみてください。もし接続できる場合は、セキュリティソフトの設定を見直す必要があります。
設置場所の見直し
電波が届きにくい場所にルーターを置いていることも、通信不良の原因になります。Wi-Fiの電波は壁や家具といった障害物に弱いため、部屋の中心や床から1~2メートルほどの高さの、障害物のない場所に設置するのが理想的です。また、電子レンジやコードレス電話など、他の電波を発する家電製品の近くに置くと、電波干渉を起こしやすくなるため避けた方が良いでしょう。
ルーターのリセット(初期化)
上記の方法を試しても改善しない場合は、ルーターをリセット(初期化)するという最終手段があります。これはルーターの設定を工場出荷時の状態に戻す作業で、SSIDやパスワードなど、全ての情報が消去されます。リセット後は、再度初期設定を行う必要があるため、設定情報を事前にメモしておくことが不可欠です。
ルーターの再起動にかかる時間を短縮するコツ

ルーター再起動の適切な頻度とタイミング

ルーターを再起動する適切な頻度やタイミングは、使用環境やルーターの性能によって異なります。基本的に、通信速度が極端に遅くなったり、接続が頻繁に途切れたりするなど、不調を感じた時に再起動すれば問題ありません。
しかし、不調が起こってから対処するのではなく、予防的な観点から定期的に再起動するのも有効な手段です。例えば、半年に1回程度の頻度で再起動することで、前述の通り、熱のこもりやアクセスログの蓄積を未然に防ぐことができ、ルーターのパフォーマンスを良好な状態に保てます。
もし、不調になる頻度が高いと感じる場合は、2〜3ヶ月に1回など、少し頻度を上げてみるのも良いでしょう。
また、再起動するタイミングは、家族がインターネットを使用していない深夜帯や、外出中など、通信が途切れても影響がない時間帯を選ぶのが賢明です。これにより、再起動にかかる時間で誰かのオンライン作業が中断されてしまうのを避けることができます。
ルーターを定期的に再起動するメリット

ルーターを定期的に再起動することで、多くのメリットが得られます。
まず、ルーターにこもった熱を逃がせることです。長時間稼働し続けるルーターは、内部に熱が蓄積されやすく、これがパフォーマンス低下の原因となります。定期的な再起動によって、ルーターをクールダウンさせ、機器の劣化や故障のリスクを軽減できます。
次に、アクセスログを消去できることが挙げられます。ルーターは通信の記録を蓄積し続けますが、これにより動作が重くなることがあります。定期的な再起動は、これらのログをクリアし、ルーターの処理能力を向上させる効果があります。
最後に、端末同士の干渉を防ぐことができます。複数のデバイスが同時に接続されると、電波の通り道であるチャネルが混雑し、電波干渉が発生することがあります。定期的に再起動することで、ルーターが最適なチャネルを自動的に再選択し、通信の安定性を保ちやすくなります。
ルーター再起動時の注意点

ルーターを再起動する際には、いくつかの注意点があります。これらを守ることで、再起動がスムーズに行われ、予期せぬトラブルを防ぐことができます。
ルーターと回線終端装置が別々になっている場合、電源を抜く際はルーターを先に、入れる際は回線終端装置を先にという順番を守ることが重要です。この順序を間違えると、ルーターや回線終端装置に過度な負担がかかり、故障の原因となることがあります。
ルーターのファームウェア(内部ソフトウェア)は、セキュリティ強化や機能改善のために自動的に更新されることがあります。更新中に再起動をすると、ファームウェアのインストールが中断され、ルーターが正常に動作しなくなる可能性があります。更新中はルーターのランプが点滅するなど、通常とは異なる状態になることが多いため、再起動の前にランプの状態を確認してください。
再起動しても基本的に設定は消えませんが、万が一に備えて、個別に変更した設定情報はバックアップしておくことを推奨します。特に、SSIDやパスワードを独自のものに変更している場合は、再起動後に再設定が必要になる場合に備えてメモをしておくと安心です。
通信が安定しないルーターを復旧する理由

ルーターを再起動しても通信が安定しない場合、その原因は複雑なことが多く、単なる一時的な不調ではない可能性があります。このような状況で通信を復旧させるためには、より根本的な理由を特定する必要があります。
例えば、ルーター自体の寿命が考えられます。一般的に、ルーターの寿命は4~5年とされています。長期間使用していると、内部の部品が劣化し、再起動だけでは解決できない通信トラブルを引き起こすことがあります。この場合は、ルーターを新しいものに買い替えることが最も確実な解決策です。
また、Wi-Fiの周波数帯が原因である場合もあります。Wi-Fiには2.4GHzと5GHzの周波数帯があり、それぞれ異なる特性を持っています。2.4GHzは遠くまで電波が届きやすい反面、電子レンジなど他の家電と電波干渉を起こしやすいというデメリットがあります。一方、5GHzは干渉に強いですが、障害物には弱いという特性があります。ルーターを再起動しても改善しない場合、周波数帯を切り替えてみることで、通信が安定することがあります。
これらの理由を特定し、適切な対処を行うことが、不安定な通信を復旧させる鍵となります。
まとめ:ルーターの再起動時間と適切な対処法
この記事では、ルーターの再起動にかかる時間や、その理由、正しい対処法について解説してきました。
- ルーター再起動にかかる時間は、通常数秒から数分程度
- 再起動することで、ルーターの熱を放出し、アクセスログを削除できる
- チャネルの混雑を解消し、通信を安定させる効果が期待できる
- 設定ツールやコンセントの抜き差しで再起動が可能
- 回線終端装置と繋がっている場合は、特定の順番で電源をオンオフする必要がある
- 再起動後も繋がらない場合は、セキュリティソフトや設置場所を見直す
- ルーターの寿命や周波数帯の変更も検討すべき理由となる
- 再起動の頻度は、不調を感じた時や、予防として半年に1回が目安
- 常にインターネットが使えるわけではないので、再起動のタイミングは家族に配慮して決める
- 再起動を行う際は、ファームウェア更新中ではないか確認する
- 抜き差しの順番や設定情報のバックアップなど、再起動時の注意点がある
- 定期的な再起動により、ルーターの性能を良好に保つことができる
- 再起動後もトラブルが続く場合は、ルーターのリセットを最終手段として試す
- ルーターの寿命が来ている可能性もあるため、買い替えを視野に入れる
- 以上の点を考慮し、ルーターの再起動を適切に行うことで、快適なインターネット環境を維持できる