古いルーターを中継器として使うとことで、買い替えなどで不要になった機器を有効活用したいと考えていませんか?
ご自宅のWi-Fi環境で電波が届きにくい場所がある場合などで、バッファローやNEC、エレコム、TP-Linkといった主要メーカーの製品を使って、手軽に通信エリアを拡大することが可能です。
特に親機と子機の間に設置することで、これまで不安定だった通信速度が改善され、快適なインターネット利用が期待できます。また、有線接続しかできない機器を無線化できるメリットがある一方で、設定方法や違うメーカー間の互換性といったデメリットも存在します。
この記事では、それらのポイントを詳しく解説し、あなたの疑問を解消します。
- 古いWi-Fiルーターを中継器として活用するメリットがわかります
- ルーターを中継器として設定する具体的な方法が理解できます
- 主要メーカーごとの設定や注意点を確認できます
- 中継器利用時のよくある疑問とその解決策が把握できます
古いルーターを中継器として使うメリットと概要
メリットとデメリットを比較

ご自宅に新しいWi-Fiルーターを導入し、今まで使っていた古いルーターが余っていることはありませんか。不要になったルーターを廃棄してしまうのはもったいないと感じる方もいらっしゃるでしょう。このような古いルーターを中継器として活用することは、Wi-Fi環境の改善において多くのメリットをもたらします。一方で、注意すべきデメリットも存在します。
古いルーターを中継器として使うメリット
- Wi-Fi電波のエリア拡大:親機の電波が届きにくい場所でも、中継器を置くことでWi-Fiの利用範囲を広げられます。これにより、電波が弱く不安定だった場所でも安定した接続が可能になります。
- 既存機器の有効活用:新しい中継器を購入する費用を抑え、すでにある機器を再利用できます。
- 有線LAN機器の無線化:LANポートを持つ中継器を使えば、無線LAN機能がないテレビやゲーム機なども、LANケーブルで接続するだけでWi-Fiに繋げられます。
- Wi-Fi 6非対応端末への対応:最新のWi-Fi 6ルーターでは接続できなかった古い端末も、中継器を介することでSSIDが見つかり、接続できるようになる場合があります。
古いルーターを中継器として使うデメリット
- 通信速度の制限:中継器は親機の電波を中継するため、根本的な通信速度が向上するわけではありません。親機の性能以上の速度は出ないため、回線自体の速度向上には別の対策が必要です。
- 設定の手間:製品によっては、中継器モードへの切り替えや親機との接続に、ある程度の知識や設定作業が必要になる場合があります。
- 二重ルーター問題:ルーター機能をオフにせず中継器として使用すると、ネットワークが不安定になったり、通信速度が低下したりする「二重ルーター」の状態になる可能性があります。設定時にはこの点に注意が必要です。
- 消費電力の増加:新しい専用の中継器と比較して、ルーターを中継器として利用する場合、消費電力が多くなる可能性があります。
親機と子機の接続設定

中継器モードは、Wi-Fiルーターの電波を中継して通信範囲を広げる役割を担っています。この機能を使うには、通常、親機となるメインルーターと、中継器として利用する古いルーター(子機)を適切に接続する必要があります。多くの場合、WPS機能を利用した簡単な接続方法と、設定画面から手動で設定する方法があります。
WPS機能を使った接続
WPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタン
接続手順の例は以下の通りです。
- 中継器として使うルーターの電源を入れ、WPSボタンを待ち受け状態にします。
- 次に、親機となるルーターのWPSボタンを押し、親機のWPSランプが点滅していることを確認します。
- 中継器側のWPSボタンを再度ワンプッシュすると、両者が自動的に接続されます。
設定が成功すると、中継器のWPSランプが点灯状態に変わります。これで、親機と同じSSIDとパスワードで中継器に接続できるようになります。
WPSボタンの名称や操作方法は、メーカーや機種によって異なる場合があります。詳細な手順は、各機器の取扱説明書で確認することをおすすめします。
設定画面からの手動接続
一般的な手順は次のとおりです。
- 中継器として使うルーターに、PCやスマートフォンからWi-Fi接続します。
- Webブラウザでルーターの設定画面にアクセスします。アクセス方法は、通常、ルーターの底面や設定情報シートに記載されているIPアドレスを入力します。
- 設定画面内の「無線設定」や「中継機能」などの項目から、親機のSSIDを検索し、選択します。
- 親機のWi-Fiパスワード(暗号キー)を入力し、接続を完了させます。
手動設定の場合、中継器モードへの切り替えスイッチがある機種では、事前にそのスイッチを「リピーター」や「WB(中継器モード)」などに切り替える必要があります。
設定完了後、中継器のIPアドレスが変わる場合があります。設定画面に再度アクセスする際は、新しいIPアドレスを確認してからアクセスしてください。
通信速度の改善と安定化

古いWi-Fiルーターを中継器として利用する主な目的の一つは、Wi-Fiの電波が届きにくい場所での通信速度を改善し、接続を安定させることです。親機から離れた部屋や、壁などの障害物がある場所では、電波が弱くなり、インターネットの利用が不便になることがあります。中継器は、このような状況を効果的に解決できます。
電波の届く範囲の拡大
例えば、2階建ての家で1階に親機がある場合、2階の部屋では電波が弱くなる傾向があります。このとき、中継器を1階と2階の中間地点に設置することで、2階への電波の届きが大幅に改善されることが期待できます。
SSIDとパスワードの引き継ぎ
親機と同じSSIDとパスワードで接続できる
デュアルバンド同時接続の推奨
デュアルバンド同時接続
例えば、親機と中継器の間は5GHz帯で接続し、中継器と端末の間は2.4GHz帯で接続するといった使い方が可能です。これにより、片方の周波数帯がボトルネックとなることを防ぎ、より高速で安定した通信が期待できます。
一部の高性能なルーターを中継器として利用する場合、5GHz帯を2つ持つトライバンドルーターであれば、2つの5GHz帯を中継に利用することで、最大限のパフォーマンスを発揮できるとされています。
有線LANを無線化する活用術

古いWi-Fiルーターを中継器として活用する大きなメリットの一つに、有線LAN接続しかできないデバイスを無線化できる点があります。これは、中継器のLANポートを「イーサネットコンバーター」として利用する機能です。
イーサネットコンバーターとしての利用
これにより、以下のような状況で特に役立ちます。
- 配線の簡素化:リビングのテレビやゲーム機をインターネットに繋ぎたいけれど、メインルーターからLANケーブルを引っ張ってくるのが難しい、または見た目が悪くなるといった場合に、中継器を近くに設置し、短いLANケーブルで接続するだけで無線化が実現します。
- 設置場所の自由度向上:これまでLANケーブルの届く範囲でしか設置できなかったデバイスを、Wi-Fiの届く範囲であればどこでも自由に配置できるようになります。
- 安定した通信の確保:有線接続は無線接続に比べて通信が安定しやすい傾向があります。中継器とデバイス間を有線で接続することで、オンラインゲームやストリーミング視聴など、安定した通信が求められる用途において、より快適な環境を構築できます。
中継器によってはLANポートが複数搭載されているモデルもあります。これにより、複数の有線LAN機器を同時に無線化することも可能です。
前述の通り、中継器の主な役割はWi-Fiの電波範囲を広げることですが、このように有線LAN機器を無線化する機能も持ち合わせているため、家庭内の様々なデバイスの接続環境を改善できます。
ルーターを中継器として使う際の設定と注意点
- 違うメーカーの機器との接続
- バッファロー製品の中継設定手順
- エレコム製品の中継器モード
- NEC製品のWPS機能を利用
- TP-LinkルーターのWDSブリッジング
- 古いルーターを中継器として使う際の留意事項
違うメーカーの機器との接続

新しいルーターと古いルーターのメーカーが異なる場合でも、基本的に中継器として接続することは可能です。多くのWi-Fiルーターは、特定のメーカーに限定されずに動作するように設計されています。しかし、いくつか注意すべき点があります。
多くのWi-Fiルーターには、WPS(Wi-Fi Protected Setup)機能が搭載されており、この機能を利用すれば、異なるメーカーの機器間でも比較的簡単にWi-Fi接続を確立できます。WPSボタンを親機と中継器の両方で押すだけで、自動的にSSIDや暗号キーの設定が行われます。ただし、WPSの動作はメーカーや機種によって異なる場合があるため、うまくいかない場合は手動での設定が必要になります。
メッシュ機能の非互換性
近年普及しているメッシュWi-Fi機能を持つルーターの場合、違うメーカーの機器を中継器として接続できないことがあります。メッシュWi-Fiは、複数のWi-Fi機器が連携して一つの広範囲なネットワークを構築する仕組みであり、メーカー独自の技術が用いられていることが多いため、互換性の問題が生じやすい傾向があります。もし親機がメッシュ機能を有している場合は、中継器も同じメーカーのメッシュ対応製品を選ぶか、メッシュ機能を持たない一般的な中継器モードで接続できるかを確認する必要があります。
また、古いルーターを中継器として使用する際には、セキュリティ面も考慮することが重要です。古い機種では、最新のセキュリティ規格に対応していなかったり、脆弱性が残っていたりする可能性があります。メーカーのサポートページなどで、お使いの機種がまだサポート対象であるか、あるいはセキュリティアップデートが提供されているかを確認することをおすすめします。
バッファロー製品の中継設定手順

バッファロー製の古いWi-Fiルーターを中継器として再利用する方法は、多くの機種で共通しており、比較的簡単に行えます。ここでは、基本的な設定手順について解説します。
バッファローのルーターを中継器として利用するには、まずルーターの動作モードを「中継器モード」に切り替える必要があります。多くのバッファロー製品では、ルーター本体の背面や側面にモード切り替えスイッチが搭載されています。このスイッチを「AP/WB」や「中継器」などの位置に切り替えることで、中継器モードとして動作するようになります。スイッチを切り替えた後は、ルーターの電源を一度抜き、再度挿し直して再起動させてください。
WPS機能による簡単接続
モード切り替えが完了したら、親機となるルーターと中継器(古いバッファロールーター)をWPS機能で接続します。まず、親機側のWPSボタンを長押し(数秒間)し、WPSランプが点滅状態になるのを確認します。次に、中継器として設定したバッファロールーターのWPSボタンをワンプッシュします。WPSランプが遅い点滅から点灯に変われば、接続成功です。
もしWPSで接続できない場合や、より詳細な設定を行いたい場合は、バッファローが提供している「エアステーション設定ツール」などのユーティリティソフトウェアや、Webブラウザから設定画面にアクセスして設定することも可能です。設定画面では、親機のSSIDを選択し、その暗号キーを入力することで接続できます。
ルーター機能のオフ
古いバッファロールーターを中継器として使う際は、ルーター機能がオフになっているか必ず確認してください。スイッチで切り替えが可能な機種であれば、通常「AP」または「WB」モードにすることでルーター機能がオフになります。ルーター機能をオンにしたまま使用すると、ネットワークが不安定になる「二重ルーター」状態に陥る可能性があります。
設定完了後は、中継器を電波の届きにくい場所と親機の中間地点に設置することで、より効果的なWi-Fiエリアの拡大が期待できます。
エレコム製品の中継器モード

エレコム製のWi-Fiルーターも、多くの場合、中継器モードに設定して再活用することが可能です。エレコム製品での設定は、直感的で分かりやすいインターフェースが特徴です。
エレコムのWi-Fiルーターを中継器モードとして利用する場合、まずルーター本体の動作モード切り替えスイッチを「中継器」または「WBモード」に設定します。スイッチを切り替えたら、ACアダプターを一度抜き挿しして、ルーターを再起動させてください。これにより、ルーターが中継器としての動作準備を整えます。
WPSボタンによる接続の簡略化
モードが切り替わると、次に親機となるWi-Fiルーターと接続します。エレコム製品もWPS(Wi-Fi Protected Setup)機能に対応しており、これを利用すると簡単に接続が可能です。まず、中継器として設定するエレコム製ルーターの背面にあるWPSボタンを2~3秒間長押しし、WPSランプが赤色で点滅するのを確認します。その後、2分以内に親機側のWPSボタンも同様に押し、親機のWPSランプを動作状態にします。
両方のWPSボタン操作が成功すると、エレコム製中継器のランプが変わり、親機との接続が完了したことを示します。WPSランプが「消灯」し、2.4GHz/5GHzランプが接続している周波数帯の色で「点灯」していれば、設定は成功です。
エレコム製の特定のモデルには「離れ家モード」という機能が搭載されているものもあります。これは屋外利用が認められている帯域を利用することで、自宅から離れた場所にある離れなどにも電波を届けることができる機能です。ご自身の環境に合わせて、このような特殊機能の有無も確認してみると良いでしょう。
もしWPSボタンを使わずに設定したい場合は、LANケーブルでPCとエレコム製ルーターを接続し、Webブラウザから設定画面にアクセスして手動で設定することもできます。その際は、Wi-FiルーターのLANポートとPCのLANポートを接続し、PCのIPアドレスを一時的に変更してアクセスする必要があります。
NEC製品のWPS機能を利用

NECの「Aterm」シリーズなど、NEC製のWi-Fiルーターを中継器として活用することも可能です。NEC製品も、WPS機能を用いることでスムーズな設定が期待できます。
NEC製のルーターを中継器として使用する場合、多くのモデルで本体側面にモード切り替えスイッチが搭載されています。このスイッチを「AP/中継機」や「CONVERTER」といった中継機モードを示す位置に切り替えて、電源を入れ直してください。これにより、ルーターが中継器としての役割を果たす準備が整います。
WPSボタンを使った簡単接続
NEC製品もWPS機能に強く対応しており、親機との接続を簡略化できます。まず、親機となるWi-FiルーターのWPSボタンを長押しし、ランプが点滅状態になったことを確認します。その後、中継器として設定するNEC製ルーターのWPSボタンをワンプッシュします。両方の機器のWPSランプが点灯状態に変われば、接続は完了です。
NEC製品の中には、人感センサーを搭載したモデルも存在します。これは、人を検知するとLEDランプが点灯し、夜間の足元を照らすといったユニークな機能です。中継器としての機能だけでなく、このような付加価値のある機能を持つモデルを選ぶことで、より快適な生活空間を演出できるかもしれません。
「らくらくスタートボタン」の活用
NEC製品では、WPSボタンが「らくらくスタートボタン」という名称で呼ばれていることがあります。操作方法はWPSボタンと同様ですが、名称が異なるため注意が必要です。マニュアル等でボタンの位置と名称を確認してください。
設定がうまくいかない場合は、NECの公式サポートページや取扱説明書を参照すると、詳細なトラブルシューティングや手動設定の方法が記載されています。また、NEC製品同士であれば、より安定した連携が期待できる場合があります。
TP-LinkルーターのWDSブリッジング

TP-Link製のWi-Fiルーターも、一部の機種を除き、WDSブリッジング機能を利用して中継器のように動作させることが可能です。TP-Link製品は、特に設定画面での詳細なコントロールが可能である点が特徴です。
TP-Linkルーターを中継器として設定する際は、まずルーターの管理画面にログインします。WebブラウザのアドレスバーにルーターのIPアドレス(例:tplinkwifi.net または 192.168.0.1)を入力してアクセスできます。ログイン後、ルーターのIPアドレスを親機と同じセグメント内の異なる値に変更することが推奨されます(例:親機が192.168.1.1なら、中継器は192.168.1.254など)。
WDSブリッジングの有効化
IPアドレスの変更後、管理画面の「詳細設定」メニューから「システム ツール」内の「システムパラメーター」を開き、「WDSブリッジング」の項目を有効にします。次に「調査」をクリックして、親機となるWi-FiルーターのSSIDを検索し、選択します。ほとんどの場合、親機のWi-Fiにはパスワードが設定されているため、そのパスワードを入力して保存します。
この設定が完了したら、TP-LinkルーターのDHCPサーバー機能を無効化する必要があります。これは、「ネットワーク」内の「DHCP サーバー」メニューから設定できます。DHCPサーバーを無効にすることで、古いルーターが新たなIPアドレスを割り当てることを防ぎ、ネットワーク内のIPアドレスの競合を避けることができます。
WDS機能の制限と注意点
- TP-Linkでは、2019年以降に発売された多くの機種でWDSブリッジング機能が非対応となっています。古いモデルで利用できる可能性が高いですが、新しいモデルでは利用できない場合があるため、事前に製品の仕様を確認することが重要です。
- WDSは2.4GHz帯と5GHz帯の両方で利用可能ですが、設定方法が異なる場合があるため、注意が必要です。
これらの設定が完了し、「ステータス」画面の「ワイヤレス」項目でWDSステータスが「有効」になっていれば、TP-Linkルーターは中継器として機能し始めます。
古いルーターを中継器として使うまとめ
古いWi-Fiルーターを中継器として使うことは、Wi-Fi環境の改善において有効な手段です。以下のポイントを理解し、適切な設定を行うことで、より快適なインターネット環境を構築できます。
- ルーターを中継器として使うと、Wi-Fi電波の届く範囲を効果的に広げられます
- 買い替えで余ったルーターの費用対効果の高い再利用が可能です
- 有線LAN接続のみの機器を無線化できるイーサネットコンバーター機能があります
- Wi-Fi 6非対応の古い端末も中継器を介して接続できる場合があります
- 中継器の設置場所は親機と利用場所の中間地点が効果的です
- WPS機能を利用すると簡単に親機と中継器を接続できます
- 手動設定の場合はルーターの設定画面からSSIDとパスワードを入力します
- 二重ルーターを避けるため、ルーター機能を必ずオフにしてください
- 通信速度は親機の性能に依存し、根本的な向上は見込めません
- バッファローやエレコムなど主要メーカーの製品で中継機能が利用できます
- 違うメーカーのルーター同士でもWPSで接続できる場合が多いです
- メッシュ機能のある親機とは異なるメーカーの中継器は非推奨の場合があります
- NEC製品には人感センサーなどユニークな機能を持つモデルもあります
- TP-Link製品の一部にはWDSブリッジング機能が搭載されています
- 古い機種のセキュリティアップデート状況を確認することが重要です