ルーターのDNS設定を変更したいと思ったものの、何をどうすれば良いのかわからず、失敗や後悔をしないかと不安に感じてはいませんか。
特に、Aterm、バッファロー、NEC、エレコム、TP-Linkといったメーカーの製品や、スマホでの設定方法、さらにはDNSエラーやDNS暗号化といった専門的な話まで、多くの情報が溢れていて戸惑う人も多いでしょう。
この記事では、そんなあなたの疑問を解決し、ルーターのDNS設定をスムーズに行うための具体的な方法をわかりやすく解説していきます。
- DNSの基本的な役割と設定変更のメリット
- 主要メーカー製ルーターのDNS設定方法
- Wi-Fi高速化におすすめのパブリックDNSの種類
- DNS設定変更時のトラブル解決方法と注意点
ルーターのDNS設定で速度は変わる?

- DNSとは?その役割を解説
- DNS設定変更のメリットと注意点
- おすすめのパブリックDNSとは
- ルーターのDNS設定方法【Aterm編】
- バッファローのDNS設定手順を解説
- NECルーターでDNSをカスタマイズ
- エレコム製ルーターのDNS設定方法
DNSとは?その役割を解説

DNSとは、ドメインネームシステムの頭文字をとった言葉であり、ウェブサイトのドメイン名とIPアドレスの対応関係を管理するシステムです。人間が覚えやすい「www.example.com」のようなドメイン名を、コンピューターが通信に使う「192.168.1.1」といった数字の羅列であるIPアドレスに変換します。
この仕組みがなければ、私たちはウェブサイトにアクセスするたびにIPアドレスを直接入力しなければならず、とても不便です。DNSは、この変換作業を自動で行うことで、快適なインターネット利用を実現しています。なお、この変換作業は「名前解決」と呼ばれます。
DNS設定変更のメリットと注意点

DNS設定を変更する主なメリットは、ウェブサイトの表示速度向上と接続の安定性向上です。特に、プロバイダーから自動で割り当てられるDNSサーバーが混雑している場合、より高速なパブリックDNSサーバーに変更することで、体感速度が大きく改善することがあります。
また、一部のパブリックDNSは、セキュリティ機能やフィルタリング機能を提供しているため、安全性の向上が期待できます。ただし、注意点も存在します。無名なDNSサーバーを使用すると情報漏洩のリスクがあるため、信頼性の低いプロバイダーは避けるべきです。
他にも、DNSを変更したことで一部の国内サービスと相性が悪くなる可能性もあります。
おすすめのパブリックDNSとは

DNS設定変更で最も重要なことは、どのDNSサーバーを選ぶかです。現在は、回線キャリアが提供するDNSサーバーの他に、誰でも無料で利用できるパブリックDNSが多数存在します。
パブリックDNSの利用は、通信の高速化やセキュリティの強化に繋がると考えられています。多くのユーザーに利用されている、おすすめのパブリックDNSを以下にご紹介します。
主要なパブリックDNSサーバー
名称 | IPv4アドレス | IPv6アドレス | 特徴 |
Cloudflare DNS | 1.1.1.1, 1.0.0.1 | 2606:4700:4700::1111, 2606:4700:4700::1001 | 応答速度がトップクラスで、プライバシー保護に優れています。 |
Google Public DNS | 8.8.8.8, 8.8.4.4 | 2001:4860:4860::8888, 2001:4860:4860::8844 | 安定性が高く、幅広い環境で親和性があります。 |
Quad9 | 9.9.9.9, 149.112.112.112 | 2620:fe::fe, 2620:fe::9 | マルウェアや悪意のあるサイトをブロックするセキュリティ機能が特徴です。 |
ルーターのDNS設定方法【Aterm編】

AtermルーターでDNSサーバーを設定する方法について見ていきましょう。通常、WAN側(インターネット側)のDHCPサーバーからDNSサーバーが自動的に割り当てられますが、手動で変更することも可能です。はじめに、クイック設定Webと呼ばれるルーターの設定画面にアクセスしてください。
アクセス方法は、Webブラウザのアドレスバーに「http://aterm.me/」またはルーターのIPアドレスを入力します。次に、ホーム画面の「ネットワーク設定」にある「接続先設定」を選択し、「DNSサーバーから割り当てられたアドレス」を「OFF」に切り替えます。
これにより、「IPv4プライマリDNS」と「IPv4セカンダリDNS」の入力欄が表示されるので、希望のDNSサーバーのIPアドレスを入力し、「設定」ボタンをクリックすれば完了です。
バッファローのDNS設定手順を解説

バッファローのルーターでは、ダイナミックDNS(DDNS)機能を通じてDNS設定を行うことが可能です。ダイナミックDNSは、変動するIPアドレスを固定のドメイン名と紐付けることで、外部から自宅ネットワークにアクセスできるようにする仕組みです。
この機能を利用するには、まずダイナミックDNSサービスに登録し、ホスト名やID、パスワードを取得する必要があります。続いて、ルーターの設定画面にログインし、「インターネット」または「WAN設定」にある「ダイナミックDNS」を選択してください。
ここで「ダイナミックDNS機能」を「使用する」に設定し、サービスプロバイダーを選択した上で、取得した情報を入力してください。設定を保存すると、ダイナミックDNSが有効になります。なお、機種によって設定画面が異なる場合があるため、取扱説明書を参照することが大切です。
NECルーターでDNSをカスタマイズ

NEC UNIVERGE IXルーターでは、コマンドラインインターフェース(CLI)を使ってDNS設定を詳細に行うことができます。このルーターは、ダイナミックDNSに対応しており、変動するIPv6アドレスを自動的に更新する機能があります。
まず、ファームウェアを最新の状態にしてください。次に、ルーターのCLIにアクセスし、「configure」コマンドで設定モードに入ります。それから、特定のDDNSサービスを利用するためのプロファイルを定義し、取得したホストキーや更新間隔を設定します。
この方法を用いることで、IPv6アドレスが変更されても、DDNSホスト名が常に最新のIPアドレスを指すように自動で更新されます。
エレコム製ルーターのDNS設定方法

エレコムのルーターでは、ルーターモード時の設定画面からDDNS設定を行うことができます。DDNS機能は、固定IPアドレスがなくても、ホスト名を使ってサーバーなどを利用可能にする機能です。
この機能を利用するためには、事前にDDNSサービスへの登録を済ませ、ドメイン名やアカウント情報を取得しておきましょう。ルーターの管理画面にログインし、「WAN&LAN」にある「DDNS」を選択します。ここで「DDNS機能」を「有効」にし、登録したサービスプロバイダー、ユーザー名、パスワードを入力してください。
また、ルーターによってはWAN側の詳細設定でDNSサーバーのアドレスを手動で設定できます。「DNSサーバーのアドレスを自動的に取得する」のチェックを外し、「次のDNSサーバーを使用する」を選択することで、任意のDNSアドレスを入力する項目が表示されます。
目的別!ルーターのDNS設定を詳しく解説

- TP-LinkルーターのDNS設定手順
- DNS設定できない時の対処法
- スマホのDNS設定変更で高速化
- DNSエラーの原因と解決策
- DNS暗号化でセキュリティ強化
- ルーターDNS設定で快適なネット環境へ
TP-LinkルーターのDNS設定手順

TP-Linkルーターの管理画面は、直感的でわかりやすいことで知られています。DNSサーバーを変更するには、まずウェブブラウザから管理画面にアクセスしてください。
通常は、アドレスバーに「http://tplinkwifi.net」またはルーターのIPアドレスを入力してアクセスできます。ログイン後、「詳細設定」メニュー内の「ネットワーク」を選択し、さらに「インターネット」に進みます。すると、画面下部に「詳細設定」ボタンが表示されるので、これをクリックしてください。
ここで、「次のDNSアドレスを使用」にチェックを入れることで、任意のDNSサーバーのIPアドレスを入力する欄が表示されます。例えば、Google Public DNSの「8.8.8.8」などを入力し、設定を保存して再起動すれば完了です。
DNS設定できない時の対処法

DNS設定を変更したにもかかわらず、インターネットに接続できないというトラブルに直面することがあります。これは、設定が正しく行われていない、またはルーターやパソコンに一時的なエラーが発生していることが主な原因です。この場合、まずはパソコンとルーターを再起動してみましょう。
これにより、一時的な不具合が解消されることが多々あります。もしそれでも接続できない場合は、設定したDNSアドレスが正しいか再確認してください。それでも解決しない場合は、パソコンのネットワークアダプターをリセットする方法を試すのも有効です。Windowsでは、コマンドプロンプトを管理者として実行し、「ipconfig /flushdns」と入力することでDNSキャッシュをクリアできます。
これらの手順を試しても解決しない場合は、プロバイダーに問い合わせるか、専門家に相談することをおすすめします。
スマホのDNS設定変更で高速化

ルーターのDNS設定を変更する以外にも、スマホ単体でDNSを変更する方法があります。この設定は、Wi-Fi環境だけでなく、モバイル通信にも適用できる場合があります。
Androidでは、バージョン9.0以降であれば「プライベートDNS」という機能を利用できます。設定アプリの「ネットワークとインターネット」から「プライベートDNS」を選択し、「プライベートDNSプロバイダーのホスト名」に任意のホスト名(例: Cloudflareの「1dot1dot1dot1.cloudflare-dns.com」)を入力して保存するだけで完了です。
一方、iPhoneではWi-Fi接続ごとに手動でDNS設定を変更する必要があります。「設定」アプリの「Wi-Fi」から接続中のネットワークをタップし、「DNSを構成」を「手動」に切り替えて、DNSアドレスを入力してください。
DNSエラーの原因と解決策

DNSエラーは、インターネット接続時にDNSサーバーへのアクセスに問題が生じることで発生します。
これは、ルーターやパソコンの設定ミス、あるいはDNSサーバー自体の不安定さが原因で起こることがほとんどです。例えば、無線接続は問題ないのに有線接続でエラーが発生する場合、ルーターの有線接続に関する設定に問題がある可能性があります。
解決策としては、まずルーターの再起動を行い、DNS設定が自動取得になっているか確認してください。特定のDNSサーバーを手動で設定している場合は、Google Public DNSなど、安定した別のDNSに一時的に変更してみるのも一つの手です。また、ルーターのファームウェアが古い場合もDNSエラーの原因となることがあるため、最新版にアップデートすることも検討すべきです。
DNS暗号化でセキュリティ強化

DNS暗号化は、DNSリクエストの内容を暗号化することで、第三者による盗聴や改ざんを防ぐための技術です。特に公共のWi-Fiを利用する際、通信内容が傍受されるリスクが高まるため、セキュリティを強化する上で非常に大切です。
現在、主流となっているDNS暗号化の技術には、DNS over HTTPS(DoH)とDNS over TLS(DoT)があります。多くの最新のルーターやOSはこれらの技術に対応しています。例えば、ASUSや一部のTP-Linkルーターでは、管理画面でDoTの設定を有効にできます。パブリックDNSの中には、Cloudflare DNSやGoogle Public DNSのように、暗号化に対応しているサービスもあります。
ルーターDNS設定で快適なネット環境へ

この記事ではルーターのDNS設定に関する様々な情報を解説しました。
- DNSはドメイン名とIPアドレスを変換するシステムであり、設定変更で速度や安定性が向上する
- Atermやバッファローなど主要メーカーのルーターでは管理画面から簡単にDNS設定が可能
- 高速なCloudflare DNSや安定性のGoogle Public DNSなど目的に応じたパブリックDNSがある
- スマホ単体でもDNS設定を変更して通信速度を改善できる場合がある
- DNSエラーや接続不良はルーターやパソコンの再起動で解決できることがある
- DNS設定を信頼性の低いサービスに変更するとセキュリティリスクが高まる
- ダイナミックDNSを利用することで固定IPアドレスがなくても外部からアクセスが可能になる
- TP-Linkなどのルーターは管理画面が分かりやすく初心者でも設定しやすい
- DNS暗号化技術を利用すると、盗聴や改ざんのリスクを低減できる
- DNSエラーが発生する原因として、ルーターの設定ミスやサーバーの不安定さが考えられる
- DNSキャッシュをクリアすることで、一時的な接続不良が改善されることがある
- 有線と無線の接続でDNSエラーが異なる場合、ルーターの設定や接続優先順位を見直す
- DNS設定変更にはメリットとデメリットの両方があるため、適切な知識を持つことが大切